近頃、震災が頻繁に起こり、また米や野菜の価格が上がってきて日本の食糧問題がクローズアップされてきています。
これを機に、不安を抱く混沌とした時代を生き抜き、しっかりと食べていけるようにするためには何をするべきなのか考えるようになった方も多いと思います。
自給自足とまではいかなくても、家庭菜園など視野に入れている方も多いのではないでしょうか。
自給自足生活に興味を持ち始めた方も少なくないと思います。
筆者の母はマンションのベランダでの家庭菜園の規模を大きくし、トマトや大葉、きゅうりやオクラなどを育てていて、よくおすそ分けをもらうのですが、それだけでも凄くありがたいと感じます。
ちなみに筆者は、豆苗を育てるのがやっとでした。(笑)
今回は、鳥取県でほぼ自給自足の究極の0円生活を目指しているという家族、
幸田(こうた)さんについての経歴などまとめてみたいと思います。
どのような過程を経て、今のような暮らしを確立する技を身に付けたのでしょうか。
いちまいのおさら オーナーであるということですが、こちらの仕事内容も気になりますね。
鳥取で0円生活!幸田さんについて
幸田 直人(こうた なおと)
1982年生まれ
鳥取県北栄町出身
家族構成:直人さん、妻のふみさん、お子さん3人(長女ゆきちゃん、長男健一くん、次女さきちゃん)
カフェ いちまいのおさら オーナー
自給自足な循環型の暮らしを実践・提案する百姓で、廃品・廃材などあるもので家を作ってきた。
『いちまいのおさら』では、ケータリング、自家発電の施工なども行い、暮らしが楽しくなるような技術を研究・提案しています。
『いちまいのおさら』での仕事とは?
『いちまいのおさら』は、幸田直人さんのご自宅に隣接するカフェです。
所在地は、鳥取県東伯郡三朝(みささ)町坂本。
鳥取の中心部の町で、世界一と言われる高濃度のラジウム温泉が噴出する三朝温泉街として知られている場所です。
四方を山に囲まれた山間部の300坪の敷地に、手作りの家を建て住んでいます。
木の温もりがあって素敵な空間ですね。
毎年1月に「いちまいのおさら通信」を発行し、日々の活動の様子や循環型の暮らしについての考えなどを綴っています。
12月~1月にかけては活動通信作りと発送作業。
2月は家族で1~2週間ほど、友人や新しい技術や価値観に触れる旅に出る。
春以降は、担当している1反の実家のブドウ畑での作業、田んぼや畑、鶏の世話、家の修繕や主催イベントの企画。
その他、母校の非常勤講師などをされています。
活動内容が幅広く多忙なんですね。
自分なりにどういう暮らしなら楽しくて、かつ経済的にも続けられるのかということを、
子供にも言えるようなことをしたいという想いから、
できることを今の暮らしの中でしていくというスタイルなんだそう。
自給自足について知りたいとは言え、いきなり仕事を辞めて田舎で暮らすことは現実的に難しいですよね。
そういった方に向けて、年に1回鶏を捌く体験をしたりなど少しづつでも技術を見つけてもらう取り組みもされているそうです。
幸田さんの経歴は?
幼少期~大学後
幸田さんのご実家は、三朝町から車で30分ほどにある海沿いの町、北栄町。
葡萄の専業農業で、子どもの頃から手伝いをしていたそうです。
その経験もあり、岩手大学農業部に進学。
大学では環境教育と地域おこしを専門に学んだそう。
山村の調査で農家に泊めてもらった経験があり、茅葺きの「南部曲り家」と呼ばれる家で牛や馬を飼いつつ暮らしている方を見て、昔の暮らしに憧れを持っていた幸田さんは
「まだこんな暮らしが残っているんだ!」と感激したそうです。
ひと昔前なら当たり前の暮らしを体験して、「昔ながらの暮らしこそ温暖化といった現代社会の問題に対して、接続していく暮らし方・社会のヒントがある。子供たちにツケを残すのではなく、どんな暮らし方だったら持続するのか。こういう暮らしをして生きていきたい。」
と思ったそう。
その後、岩手の「森と風のがっこう」で3年間学んだそうです。
「森と風のがっこう」は、標高700m、13世帯の集落にある廃校を再利用したエコスクール。自然エネルギーを取り入れた循環型のライフスタイルを、身の丈に合ったサイズで体験を通して楽しみながら学ぶ活動、施設づくりを進めている。こちらで共同生活をしながらさまざまなことを学ぶことができます。
「森と風のがっこう」で、「やりたいことを仕事にしていく=仕事を生み出していく」という生き方を目の当たりにし、自分も絶対好きなことで生きていこう!と自信をもらったとのことです。
「森と風のがっこう」の活動を知ると、筆者も興味が湧きました。
自分の力で生活ができるって、現代にとっては強みだと感じます。
知識や技術など、知っておいて損はないですもんね。
鳥取に戻り起業
鳥取に戻り、最初の5年は料理を学ぶため和食やイタリアンの店などで働きながら、調理師免許を取得したり電気関係の資格を取得。
30歳の時に同じく自給自足に憧れを持つ、ふみさんとの結婚を機にそれまでしていた仕事を辞めたそう。
そして家族で自給自足と農家を始めました。
家を建てる技術や電気の自家発電、農業や畜産をひとつひとつ習得していき、
なるべくお金をかけずにとにかくやってみたんだそうです。
実践と失敗を繰り返し、そんな中で技術は身についていったそう。
なんと、1年で10畳程度の家屋は作れるようになったそうです!
家を作るのに材料はほとんど買わず、集めた廃材や廃品で作るんだって!
廃材の規格が様々だから、作りたいものがあって設計図を引くのではなく、
ある材料がある上で、作りたいもの、作れるものが決まるみたい。
なんだか料理みたい。これがあるからこれ作ろう!みたいな。
楽しそうだけど、家はさすがに難しそう。
設計図で作る家にはない面白みに加え、途中様々なアイデアや工夫が出るので、
一つ一つに思い入れのある建物に仕上がるそう。
子供のためにツリーハウスやブランコを作ったり、子供部屋を増築したりなど、
暮らしながら折々に作っていくそうです。
なんだか夢があって素敵ですね。全て手作りなんて、温かみもありますね。
廃材建築、農業、イタリア料理、木工、自家発電、熟成肉、狩猟、溶接などいろんな分野の師匠がいらっしゃるようです。
そんな人脈も凄いですね。こういった暮らしならではなんでしょうね。
ほぼ自給自足生活の内容は?
賃貸の自宅の敷地は300坪。
薪小屋、ニワトリ小屋など6つ建物があり、母屋はもともとあった古民家を改装しています。
母屋の隣に独学で自宅を手作りしました。
廃材を集めて建てた物置の屋根に太陽光パネルを並べ、使う電気の半分以上を自家発電でまかない、
水は地区の簡易水道にたよっているそうですが下水施設は利用せず、生活雑排水は地中に埋めた手作りの浄化装置に送り、
薪でおこした火で自ら栽培した無農薬米を炊き、風呂は車で5分ほどの三朝温泉を利用しているとのこと。
庭ではニワトリを飼い、米や野菜を育て、大工仕事を請け負ったり、
「無理なく、楽しみながら」をモットーに生活されています。
桜の木で作ったお皿や椿の木で作ったコップなども自作なんだそうです。
妻のふみさんは、「生活は不便だけど、生きる術を身に付けられて楽しい。」とお話されていました。
子供たちの前で鶏を捌いたりなどし、子どもたちも命の大切さを知ることができます。
田舎暮らしならではの物々交換も行われるそうで、建築資材と作物を交換などするそうです。
生活費は月10万円ほどで、収入源は「いちまいのおさら」での収入や依頼される大工仕事、
電気の資格を活かし、自家発電をやりたい方を手伝う仕事などだそう。
地域の方と助け合って生活されているんですね。
まとめ
筆者は、これまでに自給自足や、移住をして古民家での生活をされている家族についての記事を何回か執筆してきていますが、
そのどの方も、環境問題や接続可能な住生活、子育て環境を考えた上で実践されています。
そして自ら住まいとなる土地を吟味し、現地での人間関係をきちんと作り、さまざまな創意工夫で生活されており、ためになることばかりでした。
現代にとって大切なことを教えてもらっている気がします。
仕事との兼ね合いやさまざまな都合で、なかなか移住などできない方がほとんどだと思いますが
今の生活の中でできる限りのことは取り組んでいきたいですね。
食品ロスや節電、節水、ゴミの分別、災害への備え、地産地消など身近でできることはあるので、
まずはそういった意識から少しづつ変えていきたいですね。
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